メキシコ市、2026年4月26日 — メキシコ人クリエイターのウリエル・レジェスが手掛けるポッドキャスト番組 “Relatos de la Noche”(ナイト・ストーリーズ)が、Spotify 20周年を記念した「歴代最も聴かれた番組」で世界第10位にランクインするという快挙を成し遂げた。スペイン語圏の番組としては、この企画唯一のトップ10入りである。また、中南米ではあらゆるジャンルのポッドキャスト番組の中での聴取数で堂々の1位だ。
だが、「ナイト・ストーリーズ」の成功は、単なる再生回数という「数字」以上の深い意味を持っている。なぜなら、レジェスが描く恐怖は、単に読者を怖がらせるだけの「幽霊譚」ではないからだ。
彼が紡ぐ物語の核にあるのは、ラテンアメリカの人々が経験してきた家族の記憶、移民としての苦悩、そして逃れられない喪失感といった、日々の生活に深く根ざした「生々しい体験」である。リスナー自身の人生と重なり合うリアリティこそが、世界中の人々の心を掴み、歴代トップ10入りを支えているのだ。
新型コロナウイルスのパンデミック期にYouTube から音声メディアへと舵を切ったこのプロジェクトは、過去1年間で7,130万回以上の再生を記録した。その影響力は凄まじく、単なる番組の枠を超えて現実の街にまで及んでいる。例えば、番組がきっかけで広まった「メトロの嗤う女」というストーリーは、今やメキシコ市の新たな都市伝説として市民の間に定着し、人々の記憶に深く刻まれる存在となっている。
レジェスは語る。恐怖とは、新たに生み出されるものではなく、人々の中に眠る不安や記憶が呼び覚まされた時に立ち現れるものだ、と。彼にとってホラーとは、単なる派手な見せ物ではなく、人々の間で語り継がれる「囁き」のような存在である。そこには、子供時代の記憶やレンタルビデオ、誰かが怪談を語り始めた瞬間に空気が変わる家族の団欒といったノスタルジーが深く結びついている。
こうした「語り」の世界は、音声メディアの枠にとどまらない。レジェスは『Relatos de Terror』(ホラーストーリーズ)という短編ホラー小説集を出版しており、同書は2023年以降、メキシコの Penguin Random House においてベストセラー上位20位以内を維持している。現在は続刊の刊行準備も進む。
彼はさらに、これらの物語を映像作品として展開することも視野に入れている。「これほど多くの物語があるにもかかわらず、メキシコ映画ではホラーというジャンルがまだ十分に発展していない。シリーズものの短編ドラマや映画としても描いてみたい。」深夜に語られるその「囁き」は今、新たな媒体を通じて更なる拡散を遂げようとしている。(EFE)

(画像提供:sdpnoticias)
「Relatos de la Noche」Spotify公式ページ(スペイン語)
メインビジュアルに掲げられた「TRICAMPEONES DEL MIEDO(恐怖の3連覇)」という言葉は、Spotify年間ランキングで3年連続「メキシコで最も聴かれたポッドキャスト」の座を維持していることを意味しています。
番組で語られる物語の多くは、リスナーから寄せられた実体験をもとに構成されています。単なる創作ホラーではなく、誰かの記憶や不安の断片が、レジェスの演出と音響によって深夜の「囁き」へと姿を変えていくのです。(國貞)
