メキシコ市、2026年5月13日 — 「マーケティングを最優先した映画にはしたくなかった」、メキシコ人映画監督フェルナンド・バレダは、新作『Café Chairel(カフェ・チャイレル)』についてそう語る。
舞台に選んだのは、映画産業の中心地メキシコ市ではなく、自身の故郷である北東部タマウリパス州タンピコだ。近年ほとんど映画撮影が行われていない町での制作は困難の連続だったというが、その土地ならではの空気感が作品に独自の色を与えている。
物語は、カフェを営む孤独な男女が、それぞれの問題と向き合いながら人生の方向性を見いだしていくというもの。バレダ監督は、「タンピコを観光地のように描きたかったわけではない。どこに住んでいても共感できるような物語を撮りたかった」と説明する。故郷に戻ったことで感じた自らのノスタルジーも作品に反映したという。
メキシコの独立系映画を取り巻く環境は厳しい。『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品『マンダロリアン&グローグー』のようなハリウッド超大作が劇場の上映枠を占める中、低予算作品が十分な公開のチャンスを確保するのは容易ではない。「そもそも助成金なしでは製作すら難しい」という現実を主演のマウリシオ・イサークは口にした。
メキシコで映画を作り続けていくためには『泥臭く戦っていかなければならない』とバレダ監督は言う。良作であっても公開から数週間で打ち切られたり、不利な上映時間帯に追いやられたりすることは珍しくない。それでも同氏は、大作中心の興行環境の中で、観客に届く独立映画のあり方を模索している。
『Café Chairel』は、5月21日からメキシコ国内で公開される。(EFE)

タイトルやコーヒーショップの店名に付けられた「チャイレル」は舞台となったタンピコ市にある「チャイレル湖」に由来するものです。
本作は、グアダラハラ国際映画祭(メキシコ)をはじめ、ダラスやシアトルなど海外のラテン系映画祭を約1年かけて巡回し、各地で評価を積み上げてきました。メキシコの独立系映画を取り巻く厳しい環境の中、そうした海外での実績を経て、ようやく母国での商業公開にこぎ着けた形です。2026年5月21日の公開は、いわば「満を持しての母国凱旋」と言えます。
舞台は監督の故郷である北東部の港町タンピコですが、そこで描かれる「疎外された社会における孤独と自己の再発見」というテーマは、地域を超えて多くの観客に響く普遍的な物語として構成されています。(國貞)
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